保険の入れ歯Q&A
- 保険と自由診療(自費)の違いはなんですか?
- 保険の入れ歯と自費の入れ歯の一番の違いは、制作する上での素材の制限と自由度です。保険の入れ歯を作る場合には、素材はプラスチック製に限られています。また、自費の工程は保険に比べてより作業工程も多くなります。
- 保険の入れ歯はいくらくらいでできますか?
- 通う日数、部分入れ歯、総入れ歯などによって違いますが、保険の入れ歯の場合は3割負担で約1万円ほどになります。
- 1か月前に作った保険の入れ歯を紛失しました!困っているのですぐ作ってください!
- 保険の入れ歯は自費の入れ歯に比べて安く作ることができるのですが、作成してから6か月間は再製できないという保険診療のルールがあります。保険の入れ歯を落として割ってしまったり、紛失してしまうと6か月以内では入れ歯を作ることができません。他院に行っても残念ながら作ることはできません。紛失にはお気を付けください。
- 高い入れ歯をいきなり作るのが心配です
- 保険の入れ歯には使用材料などに制限はあるものの、費用負担が少ないという大変大きなメリットがあります。
初めて入れ歯を入れる方は、遠回りになりますが、まず保険の入れ歯を作って入れ歯というもの自体に慣れて戴き、いずれ更にもっと薄くてぴったりとしたなじみの良い自由診療の入れ歯を、というチョイスも良いと思います。
ただ、通院時間も回数も無駄にしたくないから一刻も早く最良の入れ歯を!という方には自費の入れ歯を最優先でお勧めします。
自由診療入れ歯について
金属床の入れ歯の利点
- 保険の入れ歯よりも、薄く作ることが出来、違和感やしゃべりにくさが軽減されます。特に上顎の入れ歯は喉に近い金属部分をかなり薄くできるので、お口のスペースが広くなり、保険の入れ歯と差を大きく実感できます。
- 金属は熱伝導性に優れているため、食べ物の温かさや冷たさを感じることが出来ます。
毎日のお食事で出来立ての煮物は暖かく、冷たい麦茶は冷たく感じられるということは当たり前の事の様で実はとても大切なことです。また、熱さが伝わるのでやけどの危険が軽減します。 - 金属は柔らかいプラスチックより日頃の細かい傷がつきにくいので、ひいてはにおいや汚れもつきにくくなります。(毎日のお手入れは必要です)
- 金属の加工精度が高いためぴったりと合った精密な入れ歯を作ることが出来ます。
金属床の総入れ歯の欠点
- 金属という性質上、破損した場合は補修が困難です。
- 使用する金属によっては金属アレルギーを引き起こすことがあります。
- 保険の義歯に比べて値段が高価です。
コバルトクロム金属床の入れ歯 240,000円(264,000円)
昔から自費の入れ歯として代表的な、歴史ある入れ歯です。保険入れ歯の約1/3の薄さで、熱伝導率が高く、強度にも優れているため快適な状態で、永くお使い頂ける入れ歯です。金属床の中で最も治療費を抑えることができます。まれにコバルクトクロム合金に対して、金属アレルギーを起こす方がいらっしゃいます。
(画像は総入れ歯です)
チタン床の入れ歯 300,000円(330,000円)
チタン床は上記のコバルトクロム床の4分の1の軽さでありながら強度があるため、より厚みや違和感の少ない入れ歯を作ることができます。重い義歯から患者様を解放することができます。
また、チタンの最大の利点は、体内に埋め込んでも大丈夫なほど生体親和性があります。金属アレルギーのリスクが非常に少ない素材です。
(画像は部分入れ歯です)
白金加金・PGA床義歯 480,000円(528,000円)
白金加金・PGAも7割以上をゴールドが占める 、比較的金属アレルギーのリスクが少ない素材です。加工精度が極めて高く、精密な加工がしやすいため、粘膜の凹凸にもぴったり合いやすい入れ歯を作製できます。また、チタンほどの硬さがないので、お口の中で馴染みがよく、装着感が優れています。しかし女性の方はジュエリーで良くご存知ではないでしょうか?本物はイミテーションのものと違い、小さな指輪でもそれなりにしっかり重さがありますよね?入れ歯にすると金属使用量も多いので、金属床の中で最も重さがあり、費用負担が大きくなります。
(画像は総入れ歯です)
審美性を重視した入れ歯 ノンクラスプデンチャー
義歯の大きさにより80,000円(88,000円)から160,000円(176,000円)
若い方にもお勧めなのが金属のバネがない入れ歯、ノンクラスプデンチャーです。歯肉の色に近い樹脂で出来ていますので、部分入れ歯を装着していることは、ほとんど気づかれません。一般的な保険の部分入れ歯よりも薄く軽くすることが出来ます。
しかし、素材の寿命が短いため他の自費の金属の入れ歯に比べて、作り直しの頻度が高くなります。
また症例により樹脂で挟み込むスペースがないと適用できないこともあります。残っている歯が少ないと使用できません。特殊な樹脂ですので毎日きちんとお手入れしてください。
(画像は部分入れ歯です)
入れ歯のお手入れQ&A
- 入れ歯を初めて作りました。お手入れの仕方を教えてください。
- 基本的に毎食後、食べ物の残りがつくので入れ歯を洗う
- 就寝前には、特に丁寧なお手入れとして流水下、義歯専用ブラシで下のイラスト部分を参考に汚れを丁寧に落とす(歯磨き粉はつけないでくださいね)
- 義歯洗浄剤・水かぬるま湯をいれた容器(入れ歯専用容器や自分専用のお茶碗や湯飲み茶わんなど)に入れ歯をつける
- そのまま就寝する場合は一晩置く
- 使用前にはよく水ですすぐ
- 寝ている時にも入れ歯はつけていたほうがいいですか?
- 基本的に、ドクターの指示がない場合は寝ているときは粘膜を休ませるためにも入れ歯は外してください。症例により、特別な目的で夜間装着を指示する場合もありますがその場合も入れ歯とお口の中両方をきちんとお手入れをしたあとに装着しましょう。
- CMでやっている義歯洗浄剤につければ、入れ歯を磨かなくても大丈夫でしょう?
- 洗浄剤につけているだけでは数日たつと次第にぬめりがでてきますね?これは細菌や汚れです。洗浄剤は見えない汚れを浮かせているだけですので、あくまでも補助剤として使い、普段はしっかり1日1回寝る前にブラシ(義歯専用ブラシがおススメ)で機械的に汚れを落としましょう。汚れは口臭、ひいては誤嚥性肺炎などの原因にもなりますから、しっかりお手入れしましょう。
- 歯磨き粉をつけて簡単にお手入れしてはいけませんか?
- 普通の歯磨き粉には研磨剤が含まれているものが多いので、細かな傷が無数に出来てしまい、その傷に汚れが入り込みさらに細菌が繁殖してしまいます。
- 入れ歯が匂う気がします、煮沸消毒していいですか?
- 保険の入れ歯も、自費の金属の入れ歯も、レジン素材の部分があります。熱には弱いので煮沸してしまうと変形して、せっかく精密に作成した入れ歯が合わなくなってしまいます。
- 入れ歯の手入れの仕方はわかりました。残っている歯はどう手入れすればいいですか?
- 残っている歯は更に大事です、義歯をはずして、丁寧に磨いてあげてください。普段入れ歯が装着されているバネがかかっている下の部分などには特に汚れがたまりやすいです。歯がない土手の部分も、弱い力でマッサージをするように、歯ブラシでブラッシングしてあげてください。また、舌も歯ブラシで軽く磨いてください。
- 他に気を付けることはありますか?
- ついティッシュに包んでテーブルに置いておいたら、ご家族の方にゴミだと思って捨てられてしまったというお話をお聞きします。総入れ歯はそれなりに大きさもありますが、1本だけの部分入れ歯は本当に小さいです。繰り返しになりますが、保険の入れ歯は保険のルールで6か月再作製が出来ません。十分にお気を付けください。